広告代理店から愛を込めて

心筋梗塞になった40歳広告代理店の人のブログ

YouTube×Ad.

YouTubeはなんとか広告主の常識を変えようと努力している。(なぜなら、YouTubeのほとんどのビデオがユーザー投稿だからだ) 
そこでYouTubeは今日(米国時間7/30)のブログ記事で、「そら言ったじゃないか」といわんばかりのケース・スタディーを公開した。
J&Kの結婚式の入場ダンス(JK Wedding Entrance)(下に掲載)というビデオが今ものすごい勢いで話題になっている。
7月19日に投稿されて以来、なんと1400万回も再生されている。
おまけにプロによる偽の続編J&Kの離婚裁判の入場ダンス(JK Divorce Entrance Dance) (これもエンベッドしてある)まで制作され、
こちらも人気を呼んでいる。


このビデオは、ミネソタの教会での結婚式で、参列者が皆で通路を踊りながら入場してくるというものだ。
普通の結婚行進曲の代わりに、この結婚式ではChris Brownの“Forever”が使われている。
YouTubeのコンテンツの「指紋検出」システムが曲を自動的に特定した後、
著作権者はこのビデオに iTunesまたはAmazonにジャンプする「クリックして購入」広告を掲載した。


YouTubeのブログ記事によると、このビデオのクリックスルー率は平均の2倍以上あったという。
しかも影響はForeverの公式ミュージック・ビデオにも及び、こちらのクリックスルー率も平均2.5倍に達した。
(公式ビデオサイトの訪問者は、
ダンスビデオを見てこの曲に興味を持ってさらに詳しい情報を得ようとして訪問しているはずだから、これは納得がいく話だ)。


それだけではない。Foreverはヒットチャートそのものでも順位を上げ、
iTunesで一時は4位(現在は15位)、AmazonのMP3ベストセラーリストで3位(現在は4位)にまでなった。
1年も前にリリースされた曲としては悪くない成績。


YouTubeはこの事件を「だからユーザー投稿ビデオも広告媒体として優秀なんだ」という証拠にしたいらしい。
話題になったビデオはユーザー投稿であろうとなかろうと有力な広告媒体だという以上の意味はないと私は思うが、
YouTubeはなんとかして広告主をユーザー投稿ビデオに誘導しようと必死だ。
http://jp.techcrunch.com/archives/20090730youtube-viral-wedding-videos-are-great-for-advertising/


これは、chris brown側から見たら、コンテンツ課金ビジネス。
youtube側からみたら、メディアビジネス。


youtube側の主張は、結構キツくて、
「ユーザー投稿ビデオの集客ポテンシャルはわかったけど、じゃあそのマッチングってものすごく非効率っすよね。」
というところかな。おそらくマッチングできる業種も限られるし、(これまでのyoutubeのヒットビデオをみてる限り)
マスパワーのあるビデオも出現率結構厳しいっすよねー。。


どっちかっつうと、chris brown側からの方が面白くて、
音楽にも「買わせる土壌を創る」というか、「広告が視られる環境にすること」
(これでいうとyoutube・blogなりでこのビデオに接触して楽しんだ状態)
が大切ですよねーと。


ある意味、chris brownのFoeverの視え方をズラしてるというか、
こういう環境で聞くと、「あら。この曲いいじゃない。」と思わせるのに成功してる、というか。


じゃあAgencyはどうすんの。ってなった時、たぶん、この、
「結婚式で、Foreverにのりながら、参列者が皆で通路をダンス入場したら楽しくね??」
「Wedding entrance danceだ!!」


を戦略的に導かなきゃいけない。
だから、僕らがわからみれば、youtubeが(というかユーザー投稿ビデオが)
広告媒体としてすぐれてるかどうかはどうでもよくて(正確には後の問題で)
売りたいモノコトをどう輝かせるか、を考えにゃならんことには変わらないのよね。


口説くならTPOを選びなさい。と一緒や。


あと、たぶんこのテの企画自体は、「コアアイディア」にすんのは危険。と個人的には思う。
予算がない、とか諸々のありがちな事情があったりすると仕方ないけれど、
インフルエンサーとかαなんちゃらとかいうけど、
そういう「パワーを持った関係者」を見つける方がしんどくて、
そいつらをある種「事前ターゲット」として発掘してインサイトして、波に乗せなきゃならない。

tumblrやってて感じたんだけど、
ぼくのtumblrなんてメディアパワー的には10くらいのパワーしかない。
でもある良い記事をpostしたら、それが500人くらいまで波及したことがあって。
それがどう波及したかをみてくと、やっぱりネットの中での情報強者みたいな人がピックしたから拡がってるのよね。
otsuneとかpetapetaとかnakanoとか。


こういう企画を発想できる幅の広さは大事だけど、そっち側によっちゃう危険感はやっぱりあるなあ。


追記


chris brown側というよりは、結婚式場とかブライダルサービス業者、の方が近いか。
よく考えたら。。