この人の分は本当に面白い。
ものすごいニュートラル。
現実的でありポジティブ。
今日(4/1)、私は勤務先の入社式でスピーチをすることになっているんですが、
何を話すかについてメモを作ったので、ここで公開してしまいます。
エイプリルフールと間違えられるといけないので、3/31の日付で投稿しました。これから、このメモをポストして会場に向かい、iPhoneで自分のブログを見ながら話す予定です。どこを話すかは、その場の雰囲気で決めます。
挨拶・導入
o 入社おめでとうございます
o 今日から皆さんは社会人としての一歩を踏み出すわけですが、今日は、「社会人とは何か」ということを一緒に考えてみたい
o 私が就職したのは25年ちょっと前。「もう学生ではないんだから」と回りからよく言われた
o 社会人とは「今ある社会にスッポリはまる人間」だった
o つまり、社会人という穴が空いていて、そこに自分を押しこむイメージ
o 社会は変わらない、個人がそこに適応すべきという前提がある
o それでいいのだろうか？社会は変化している
Did you know という動画( http://d.hatena.ne.jp/nishiohirokazu/20090401/1238588872 )
o Googleでは毎月310億件の検索がなされています。2006年には27億件でした。
o 回線速度は6ヶ月で3倍になっており、今後20年もその傾向が続くと期待されている
o 2010年に需要のある仕事上位10位は2004年にはまだ存在していませんでした。
o 米国労働省は今の学生は10〜14の仕事につくと推測しています。38歳までに。
o 4人に1人の労働者は、今の仕事についてから1年未満です。2人に1人は5年未満です
o 中国はまもなく世界一英語が話されている国になります。
世界の学生が選ぶ“理想の就職先ランキング”、グーグルが1位 ( http://media.yucasee.jp/posts/index/1939 )
o 日本を含む11カ国、12万人の大学生にアンケート
o ランキングはビジネスとエンジニアリングの2種類があり、両方でグーグルが1位を獲得した。
o さて問題です。15年前にグーグルは何位だったでしょうか？
o 答: 創業が1998年なので、その頃グーグルは存在していません
o グーグル八分という言葉は知っていますか？ 誰が考え出した言葉か知っていますか？
o 実は私です。参照『グーグル八分とは何か』 http://d.hatena.ne.jp/essa/20031003/p1
o 2003年11月には、検索エンジンの公共的、社会的意味について考える人はほとんどいなかった
o 今の話題は、「Facebook、Google抜き米国でアクセス数1位に」 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100316-00000022-zdn_n-sci
o 皆さんが社会の中心になる15年後には、今存在しない会社が一位で、おそらく今存在しない業務をしている
o YouTube/Twitter/iPhone/Facebook は皆10年前には存在してなかった
o 社会は変化している、では社会人は？
アジャイル開発(ソフトウエア業界の当面の課題)
o 皆さんの中には、相当プログラムが組める人もいると思いますが、チームで開発できなければプロとは言えない
o プロに特有のチーム内のコミュニケーションに関するノウハウ = 開発手法が大きく変化している
o 従来は、担当者の分担をはっきり決め、リーダーから指示、結果をリーダーへ報告、という縦の情報の流れ
o 縦の情報交換をうまくできる人 = 良い技術者であり良い社会人(自分の役割を限定してそこに責任を持てる人)
o アジャイルでは、担当者同士が横の情報交換を行ない自発的に役割分担をする。リーダはコミュニケーションを円滑に進めることをサポートする役割(ファシリテータ、スクラムマスター)
横の情報交換の重要性
o アジャイル開発=チーム内の横の情報交換、ソーシャルメディア=社外での横の情報交換
o 企業内でソーシャルメディアを活用しようという動きもある
o チーム内、社内、社外、全ての場で、横の情報交換が重要(twitter、勉強会、ブログ)
o 発信する情報を厳選することが重要(上司や顧客への報告等)な世界から、デフォルト共有、デフォルト公開の世界へ
o 横の情報交換は、組織間、メンバー間の相互作用が複雑になることからの必然。それをサポートすることが本当のITの役割。
o 横の情報交換には、公開された場に発信することが欠かせない
新しい社会人 = 不完全な情報を発信しながら素の自分で社会と対話できる人(認識、態度、ノウハウ)
o 認識: 社会の変化を理解している人。自分の仕事を社会の変化の中に位置づけられる人
o 態度(度胸): 不完全だからこそ発信する価値がある。間違いを発信することで社会が活性化するという積極性を持てる人
o ノウハウ: ソーシャルメディアを活用して、社会の変化に参加できるノウハウ
o 2ちゃんねる活用のコツ: 丁寧に聞くより知ったかぶりで間違いを偉そうに書きこめば、すぐに誰かが訂正してくれる(ジョークだが本質が含まれている)
o 事例 ケツダンポトフのそらのさん:普通の22才の女性がUstream放送(ダダ漏れ)のキーパーソン
o “革命的Ustream放送” http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1003/23/news045.html とプロフィール(チキンハート?)のアンマッチ http://ketudancom.blog47.fc2.com/blog-entry-95.html
o 流れが来た時に「自分なんか」と言って拒否しない、飾らず受ける
縦の情報交換と横の情報交換の葛藤
o 今後10年は、古い社会人(縦の情報交換)と新しい社会人(横の情報交換)がぶつかりあう時期(情報を出す/出さないの葛藤は大きい)
o アジャイル開発の効果は確認されているが、現在の仕事の流れにはなじまないことが課題
o 縦のコツは迷ったら黙る、横のコツは迷ったら喋る、使いわけたら最強？
o 「情報を止められる人=社会人」 から 「情報を流せる人=社会人」へ
o 使いわけが難しかったら、未来(=横)を取るか過去(=縦)を取るかの選択
o 自分のポジションを探し、自分なりの社会人像を作ってください
これを自分のブログで公開します
o これは会社の方針ではないが、私個人はそのように考えている
o 公開しなければ「偉い部長さんのありがたいお話」で終わるけど、公開するとなかなかそうはならない
o 反応の見方は新人教育の中で教えます
o コメント等の意見も参考にしてほしい以下は時間が余った時の予備コンテンツです。
具体的な当面の課題としては積極的に質問できること
o 質問は重要な情報発信(情報の不足やメンバーとタスクのミスマッチ)
o 答が重要な世界(学校)から問いが重要な世界(ビジネス)へ
o ベストは上手な質問ができる人
o その次は下手でも質問ができる人
o 最悪は、自分で考えるばかりで質問ができない人
o 不完全な情報は発信してはいけないという学校教育の中で植えつけられた思いこみを忘れてください
o 本当に良い質問は教師を困惑させる
o 実現不可能な仕様を渡されることも充分あり得る
同質性の強い組織が強い時代から、異質な価値観を多様に持つ組織が強い時代へ
o Webのシステムを開発する上で何が必要か？
o 社内向けシステムでは、スポンサーはユーザをコントロールできる
o Webシステムでは、スポンサーがユーザをコントロールできない→多様な価値観を持つユーザ
o 顧客の業務を理解するのと同様に、Webの一般ユーザを理解する必要がある(「業務知識」の位置づけが変わる)
o 会社の価値観、マナー、手順等を理解する必要はあるが、それに染まる必要は無い
o 外側から理解できて、それを利用できるのがベスト
http://d.hatena.ne.jp/essa/20100331
