広告代理店から愛を込めて

心筋梗塞になった40歳広告代理店の人のブログ

Re.


ドアを閉めた途端、刺すような寒さに責めたてられた。
久しぶりに涙が出た。


あれだけ考えたはずの「答え」が、
いざ正面に立った時に、立脚点をなくす。
感情の前に、理性はかくも弱いのか。と思い知る。


たぶん、答えなんかなくて、
自分は、何かを選んだことで、何かを捨てた。


捨てたものは明らかなのに、何を選んだのかがわからない。
戦略屋が聞いて呆れる。
ただ、確実に「止まっていた」。
その状況をなんとかしたかった。
身勝手でいい、と思った。
それくらいがちょうどいいんだ、と。


おそらく2度と歩くことのない駅までの道で、
どんな感動的な映画でも泣くことのない目が涙し、
皮肉に限りなく近い笑いが止まらなかった。


ひとに涙させること。
その重さを知れたんだ。
そして、忘れずにいよう。
ひとの痛みが、こんなにも自分を痛くさせることを。


東野圭吾の『白夜行』。
ヒロインの雪穂が、主人公と肌を重ねたとき、
「ひとってこんなに暖かいんだ」
と言っていた。


重ねた出会いは、何かを残す。
そして、ひとは出会わずにはいられない。


きっとそうだ。